森林のさまざまな役割を知ろう!
沖縄県における健全な森林のすがた(イメージ図)
森林には樹木のほかに、草花やコケなどの植物、菌類、土壌微生物、昆虫、鳥、爬虫類、哺乳類など様々な生き物が生息・生育しています。
沖縄では、やんばるや西表島の森林など、ヤンバルクイナやヤンバルテナガコガネ、イリオモテヤマネコなどの希少種が生息する豊かな自然環境を有しています。また、街路樹や公園の植木、街中でよく見かける鳥など、都市で生きる生物も生物多様性を構成する要素の一つです。このような森林を保全することは、遺伝子や生物種、生態系など生物多様性の保全につながります。
森林は、工業、建設、サービス業などの産業活動や家庭生活によって排出される二酸化炭素を吸収して、地球温暖化を抑えるはたらきを持っています。
植樹や育樹を適切に行うことにより、森林による二酸化炭素の吸収効果を高めることができます。
森林は、蒸発散作用によって、夏の気温を低下させたり、地球の気温の変化を緩和するはたらきを持っています。
また、樹冠(樹木の上部で葉が茂っている部分)による、ちりやほこりの吸収や汚染物質の吸収機能、樹林帯による防音効果なども備えており、快適な生活環境の形成に貢献しています。
森林は、地中にはりめぐらされた樹木の根によって、土が流されないよう斜面につなぎ止める能力を持っています。
また、土の表面をおおう落葉落枝や低木、下草等によって、降雨などによる土の流出を抑え、土砂崩れなどの土砂災害の未然防止に力を発揮します。また、台風や潮風など風による災害からも私たちを守ってくれます。
森林の土は、有機物やさまざまな生物によってスポンジのような構造となっているため、裸地と比べて、雨水を地中に浸透させる能力が約3倍もあります。
このため、雨水を充分土の中にたくわえてゆっくりと河川に流すことができ、洪水や渇水を緩和します。
また、水質を浄化するはたらきもあり、きれいな水を海に流すため、きれいな美ら海を保っています。
森林は、木材、きのこ、山菜など様々な資源を供給してくれます。
これらの資源は、適切に森林を管理することにより、半永久的に繰り返し生産ができる“循環型資源”として私たちの生活を支えています。沖縄県では、リュウキュウマツやイヌマキ(ちゃーぎ)など、様々の県産材があります。また、イヌマキは、首里城や国の重要文化財である中村家住宅等の建築資材にも使用されており、シロアリに強い特徴を持っています。
精神的あるいは肉体的ストレスを有する人にとって、森林が安らぎや癒しの効果を持つ空間であること、樹木が発散する揮発性(きはつせい)物質が健康増進に効果を発揮するという実証的なデータがあります。
このことから、森林ツーリズム(森林ツアー、森林環境教育、森林セラピーなど)が、気分転換や健康維持に高い効果を発揮することがわかっています。
森林の景観は、日本人の自然観や伝統文化の形成において重要な要素になっています。
また、子どもの頃に自然にふれる体験をすれば、“学び”の意欲向上、あるいは、道徳観や正義感の形成につながるというデータがあり、教育の場としてのはたらきも期待されています。
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